純粋容量負荷は何のため?

インターネットの掲示板では様々な意見が交わされています。掲示板の内容は一過性の物が多いのですが、時々捨て去ってしまうにはあまりにも惜しい、面白い内容の物があります。
今回、「インターネットって面白いな〜」って思わせたのが時間を見て頂くとわかるのですが、2002年02月06日に、ぺるけさんの運営される東京都市生活+真空管Audio+英国車+猫とUTiCdさんの運営されている...What's UTiCd ?...のふたつの掲示板で同時に行われた点です。
(編集 一庵)


■ぺるけさんが運営される東京都市生活+真空管Audio+英国車+猫《《《 真空管オーディオなんでもありの掲示板 》》》で話された内容



▲純容量負荷は何のため? 投稿者:AZ  投稿日: 2月 6日(水)12時39分29秒

みなさん、こんにちは。

オシロを当ててもらう機会があって、作った全段差動アンプの波形応答測定をやってもら
ったのですが、
純容量負荷0.1μFで片チャンネルのみバッと発振しました。0.2μFだと発振しません。
8Ω抵抗負荷、8Ω//0.1μFでは何ともないので、実用上さしつかえない?と思って
「まっ、いいか」なのですが、臭いものに蓋で見なかったことにしておくのはダメですか?

純容量負荷はアンプの安定性を見るのだと思うのですが、そういう条件ってアンプの実際
の使用では無いと思うのですが、どういう意味があるのですか?

応答を見ながらの原因究明、位相補正の合わせ込みなどは機器が手元にあるわけではない
ので出来ないのですが、何か「おまじない」的な副作用の少ない万能薬的な手当てなど
ございますでしょうか?(現状NFBに1.6KΩ//220pF、トランス二次側に15Ω+0.068μF)
ドライバ段P-Gに数pFとか・・・・・。

無負荷で方形波1KHZで立ちあがった角に少しポチがある程度、10KHZで立ち上がった角と
立ち下った底に少しリンギング、8Ω抵抗負荷・容量負荷で少しリンギングが大きくなり、
立ち上がりがわずかに遅れる程度です。
ソフト帽子のように丸みのあるカマボコ型にナマッたりせず、山高帽子型がくずれないの
で、若干リンギングがあるものの波形的には、私好みなのですが。(^^;



▲Re:純容量負荷は何のため? 投稿者:渋谷@テキサス  投稿日: 2月 7日(木)07時59分33秒

AZさん、

実はいろいろな目的があります。

石SEPPの場合:
-エミッタフォロファの寄生発振の有無の確認。これは通常10MHz以上
の領域の話です。

-通常数100KHz以下のビロビロ応答は、出力保護ネットワークと負荷で
形成される共振回路が、方形波の立ち上がり部分に含まれる高調波に
励起されたものなので、方形波のライズタイム次第でどうとでも手心
が加えられます。よって、寄生発振さえ抑圧されていればビロビロ自体
はあまり気にする必要はありません。

-グローバルNFBで決まる全体のゲインのカットオフは通常数100KHz-数MHz
で、しかも1次のロールオフなので容量負荷応答が気に入らないからどう
こうすると言った性質のものではありません。

なお根がまともでないアンプの場合は必ずしも上記のの限りではありません。

球の場合:
-主にグローバルNFBの位相余裕の減少の影響を観察していることになります。
通常カットオフが2次以上なので、負荷容量を増やすにしたがってf特のカットオフ
近傍の盛り上がりがつまりQが増加する具合を見ていることになります。
対策は、ステップ補償でNFB後のカットオフ近傍が1次で落ちるようにしたてる
というのが一般的です。詳細はその道の書籍をご参照ください。

-場合によっては特定の回路ブロックの寄生発振が問題になることもあるので
「無帰還」だからといって油断はできません。




▲純容量負荷 投稿者:AZ  投稿日: 2月 7日(木)13時57分13秒

みなさん、こんにちは。
(マルチで失礼します。)

渋谷@テキサスさん、いつもありがとうございます。

>石SEPPの場合:エミッタフォロアーの寄生発振、
>球の場合:NFB後の位相余裕、カットオフ近傍のピークの盛り上がり

う〜ん、そういうことだったのですか。

>対策は、ステップ補償でNFB後のカットオフ近傍が1次で落ちるようにしたてる

これは、石でも球でも同じのようですが。 非常に初歩的なことで恐縮ですが、
1次というのはカットオフの一番低い高域ポールを持つ増幅段のことで、カット
オフ特性があってもOPTのようなアクティブでないものは関係ないのですね?
本で発振防止は一応読んだのですが、高域をあえて落とすのがもったいない気が
して落とさないままでした。感覚では、なんとかなると思ったのですが・・(^^;。
(片チャンはなんとかなってる?)



▲Re:純容量負荷 投稿者:渋谷@テキサス  投稿日: 2月 7日(木)15時42分36秒

AZさん、
>1次というのはカットオフの一番低い高域ポールを持つ増幅段のことで、カット
>オフ特性があってもOPTのようなアクティブでないものは関係ないのですね?
OPTの2次側からNFBを掛ける場合はOPTのポールも関係あります。

1次のロールオフというのは-6dB/octで落ちていく領域という意味です。どこまでも
-6dB/octで落ちていくならば、最大でも位相は90度しか回らないので、どれだけNFBを
掛けても安全です。これが石アンプの場合の位相補正の考え方の基本です。実際には
周波数選択性ローカルNFBを使って複数あるポールのうち最低次のものを低域方向に
引き下げ、それ以外のものをグローバルループ一巡ゲインが1以下になる領域に押し
上げる形を取り近似的にの鉄壁の90度(180-90=90)位相余裕を確保します。

球アンプの場合OPTがあるので、最低でも2次つまり-12dB/oct、実際はもっとあるので
最悪まだループ一巡ゲインがあるうちに位相が180度回ってNFBがPFBになってしまう
可能性があります。生憎と石の場合と異なってOPT付きの回路では上記の「最低次以外
のポールを押し上げる」という細工が簡単には施せません。よってループ一巡ゲインが
1になっても180度まではいくらか余裕を残した程度におっかなびっくりNFBを掛ける
ということにならざるを得ません。この状態は非常に不安定なので、帰還抵抗に
パラにCをいれて位相を進めて位相余裕をすこし増やしたり、フォワードパス側に
種々の細工を施して同じ効果を狙ったりするわけですが、高次ポールを押し上げられない
という点が根本的にネックになっているためどうしても限度があります。というわけで
本当にどこまで大丈夫に仕上がっているか、容量性負荷で確認しないと安心できない
わけです。このさけられない高域のピークというか盛り上がりというかリンギング
傾向は、どうもある種の人工プレゼンス感の元になっているらしく、これぐらいなら
まあ安全だろうという範囲に位相余裕を押さえて、そのプレゼンス感を楽しむという
点が、球アンプならではの調整の醍醐味といえるのではないでしょうか。






▲純容量負荷 投稿者:AZ  投稿日: 2月 7日(木)18時12分08秒

渋谷@テキサスさん、お手数をおかけいたします。m(_)m

>OPTの2次側からNFBを掛ける場合はOPTのポールも関係あります。
>1次のロールオフというのは-6dB/octで落ちていく領域という意味です。

とほほ・・・。ぜんぜん、わかってなかったみたい。(^^;

OPアンプの本が一番詳しく載っていたのでそれを参考にしたのですが、OPTのことなど
すっかり抜け落ちてました。
2段ある真空管のポールの一つをNFBの進相Cでかわせたとしても、OPTが加わって-12dB
/octだと、ポール位置で少なくとも90度回っていて、位相余裕なんてぜんぜんなかったと
いうことなのですね。(^^; もろ発振しても不思議じゃ〜なかったんだ・・・。



▲RE:純容量負荷 投稿者:Daluhmann  投稿日: 2月 7日(木)19時29分51秒

渋谷さん&AZさん:
その測定に立ち会ったのが実は私でありましたので、少々コメントをば。

「発振は、通常(=OTLアンプ)なら1stポールの段に補償Cを追加しますが、
OPT付の位相補償は正直良く分かりませんねえ」などと申し上げたんですが、
留保しておいて良かったです(^^;)。
ちなみに回路を見せていただいた所、1stポールは300kHz以上を確保してますし、
0.1μでの発振周波数は100kHz内外でしたので、確かにOPT近辺の問題かと。

それにしてもOPTはノグチでしたか、値段を考えると驚く程高域特性がいいですね。
規定負荷での10kHz矩形波応答は、そのへんの古典アンプ製作記事によく見られる
歪んだサインカーブまがいとは似ても似つかない物でした。
音の方もかなりのレベルで、能率の悪いディナウディオを鳴らすには少々パワー不足、
また低域のダンピングが甘いといった構成そのものから来る限界は当然ありますが、
なんのその音色や音場の深さは見事、正しく音楽の聴かせ所を押さえたアンプという
印象でありました事をご報告しておきます。




▲純容量負荷 投稿者:az  投稿日: 2月 7日(木)22時09分46秒

自己フォローです。
そうそう、思い出しました。OPTを無視したのは、コイルは位相が進むで、
減衰がかかるだけだから、高域は影響ないと思ったのでした。(^^;

わっ! Daluhmannさん、先日はありがとうございました。 フォローまでいただき
恐縮でございます。m(_)m



▲Re:純容量負荷 投稿者:渋谷@テキサス  投稿日: 2月 8日(金)07時22分51秒
>Daluhmannさん、AZさん
<1stポールは300kHz以上
これはたぶん喜んでいてはいけない領域に近い値なのではないでしょうか。
OPT付き球アンプの安定性設定の実用簡易指針に、「スタガ比」というものが
あるのですが、1次が高いということはポールが互いに寄り過ぎてマズイ
ということと事実上等価なので、ちょっと厳しそうです。

「スタガ比」で検索かけてみてはいかがでしょうか。



▲RE:スタガ比 投稿者:Daluhmann  投稿日: 2月 8日(金)16時41分15秒
渋谷さん:
>1次が高いということはポールが互いに寄り過ぎてマズイということと事実上等価なので
はい、石のどワイドラーなら通常2段目を積分回路とし、他のブランチのポールは
カットオフ以上に追いやって「鉄壁の90度」を確保、という所は理解しています。
対してOPTのポールは常識的にどのへんにあるのか、またどんなロールオフを
示すのか見当もつかなかった訳です。(実測すれば自明という話はありますが)
で、これはAZさんも同じではないかと。



▲純容量負荷 投稿者:AZ  投稿日: 2月 8日(金)17時49分00秒
みなさん、こんにちは。
渋谷@テキサスさん、いろいろありがとうございます。
>1次が高いということはポールが互いに寄り過ぎてマズイ
>ということと事実上等価なので、ちょっと厳しそうです。
ご指摘の通り真空管の2段分のポールが寄ってます。
(なんとかイケルと思ったんですが)。
よく検討してみることにします。(「電蓄の作り方」の本などから手始めに・・・)



▲感想 投稿者:heiwa_denki  投稿日: 2月 8日(金)22時29分21秒
今晩は。
真空管アンプの製作は、最初の内は楽しいですが、中身を知りだすと、とても怖いものを
製作しているのだという感が出てきます。その点キットはまずまずですが。
渋谷@テキサスさんのご指摘もごもっともです。
アンプを作ったら、ノイズ、周波数特性、セパレーションを測りますが、ボード図も描きましょう。

発振は球に限ったことではありません。日本橋の石アンプキットを販売している某店の方が、
「お客さんの中にスピーカーを壊す人がいます。」「でもそれを言ったら売れなくなる。」
と、おっしゃっていました。

球やトランスの選択と同様に、安定動作回路の研究をしよう、と決意してる私ですが。
SEPPも進まず、ヒーターフィラメントの点検もまとまらず、

誰か「真空管アンプ製作技術分野別リンク集(虎の巻)」を作りませんか。
当然総論編は師匠のページとなります。

かしこ  (あれ、私も三結に)



▲OPTのポール 投稿者:ぺるけ/Perche  投稿日: 2月 9日(土)08時41分19秒

体感的なものですが、OPTの多くは、
 ・小刻みに複雑な動きを示しつつ高域に向かってだらだらとレスポンスが低下する
という一面と、
 ・100kHz〜400kHzあたりのどこかに隠れピークが存在する
という一面があるように思います。この隠れピークは、無帰還状態で単純に測定するとわかるかわからないか程
度のかすかな「肩」として判別できます。まれに、ピークが判然としない素直なOPTもあります(安い
OPT=U-608ととても良く出来たOPT=XE-20S)。また、このピークに位置と高さは個々のロットでかなり異なる
ため、当りが悪いとほんと泣かされます。

いずれにしても、OPT自身にポールを約2個持っているのが普通で、そのうち1個がわがままをいうために負帰
還が制限されるように思います。回路上のコントローラブルなポールをどこに設定しようが、隠れピークはおか
まいなしに暴れ出す、という感じです。この問題は、単純にスタガ比で解決できたためしがなく、帰還抵抗に並
列にコンデンサをかませるタイプの位相補正でなだめつつ仕上り具合を整える、という方法で誤魔化しているの
が現状です。OPTによって、かけることができる最大帰還量が決まっている、といってもいいです。
というわけで、2月7日のテキサスからのコメントとほぼ同じような内容の書込みになってしまいました。



▲OPTのポール 投稿者:az  投稿日: 2月 9日(土)16時23分45秒

みなさん、こんにちは。

ぺるけさん、heiwa_denkiさん、ありがとうございます。m(_)m

>隠れピークはおかまいなしに暴れ出す、

ありがとうございます。先の渋谷@テキサスさんのご指摘とともに、
今回のようなケースが、まさに、「負荷容量を増やすにしたがってf特のカットオフ
近傍の盛り上がりがつまりQが増加する」状態を観察しているという”純容量負荷テ
ストの意味”だったのですね。(^^;

う〜ん、単に「らしいもの」を作ることと、音質や特性を確保しつつ安定動作する
ものを作るというというレベルの差は大きいようです・・・。(^^;


■UTiCdさんが運営される...What's UTiCd ?...What's UTiCd の掲示板で話された内容




▲CMRRの向上手法 投稿者:taro  投稿日: 2月 6日(水)17時18分35秒 210.238.65.101
:
前略
:
>AZさん
0.1μFで発振し,0.2μFでOKなら,出力に
0.2μF+15Ωのスナバ入れれば無問題でしょう.
ADのレール・ツー・レールOPアンプにもコンデンサ負荷で
発振するときは,CRスナバ入れるように書いてあります.



▲カレントミラー? 投稿者:AZ  投稿日: 2月 7日(木)11時41分28秒 211.6.110.25


前略

●taroさん、はじめまして。
>0.1μFで発振し,0.2μFでOKなら,出力に
>0.2μF+15Ωのスナバ入れれば無問題でしょう.

うっ、この発振の話しはどこかで聞いたことがあるような・・・やっぱ、私ですね。(^^;
出力というご指摘ですから、OPT二次に0.2μF+15Ωで、「もーまんたい」ですか、
これならすぐ処置できそうです。 ありがとうございます。m(_)m



▲「フローティング電源」 投稿者:taro  投稿日: 2月 7日(木)12時13分10秒 210.238.65.101


前略

>AZさん
無問題といっても,発振に対してであって,音に対してではありません.
付けない方が,高音の繊細さは楽しめるんじゃないでしょうか?

後略




▲Re:0.2uF+15ΩでOK 投稿者:渋谷@テキサス  投稿日: 2月 7日(木)16時55分27秒 jump-v90-2096.customer.jump.net

AZさん、

ぺるけさんのところにまたリプライしておきました。

さて、この「0.2uF+15オーム」のスナバというか、Zobelネットワークというか
ステップ補償素子というかに辿りついた、taroさんの思考を地球の裏から透視
してみると...

1)0.1uFで逝き、0.2uFでは逝くわないのか
2)0.2uFではきわどく180度でループ一巡ゲインが1以下になっているやうであり
くわなり出力インピーダンスによる時定数が効いているやうだ
3)1KHz方形波でこの調子なら、ビロビロは数10KHzくらひであらうからして
4)0.1uFとあわせても、ほぼ抵抗性負荷にみえるようスナバをいれてやらう
4)このへんではNFBもほとんど効かなくなりかかっているので、出力インピーダンスは
大体トランスの公称インピーダンスだうりであらうからして
5)0.2uF+15オームあたりでよからう

こんなものでせうか? >taroさん

注)ステップ補償というのは、まず-6dB/octで落ちて最終的にはフラットになる
という特性を持つネットワークを使って変曲点の1デケード下くらいからジワジワ
位相を進めて、問題領域、つまりループ一巡ゲインが1になる近傍の位相余裕を
改善するという仕掛けです。(目安:変曲点で45度、1デケード上以上で90度)



▲Re:「フローティング電源」 投稿者:taro  投稿日: 2月 7日(木)18時03分05秒 210.238.65.101


前略

>AZさん
真空管アンプの負饋還理論は第1人者の北野さんが書いた
ラジオ技術増刊14集が復刻されていますから一読を薦めます.
北野さんは先に紹介した遠坂俊昭氏の師匠筋です.

>渋谷さん
親切な解説ありがとうございます.m(__)m
ところで, ラジオ技術増刊14集はどうでしょうか?
歴史はこのようになっています.
'27年ブラック氏による負饋還の発明
'45年ボーデ氏'Network Analysis and Feedback Amplifier Design'発刊
'55年北野氏ラジオ技術に負饋還理論の連載開始
同年喜安氏によりボーデの翻訳「回路網と饋還の理論」刊行
'57年北野氏らによるラジオ技術増刊14集「電蓄の回路設計と製作」発刊

後略


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